こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前々回と前回に続いて、垂水を歩いてみたいと思います。
海神社から山陽電車の高架を潜り、山側に出ました。
駅前に広がるのは山陽バスの垂水東口バスターミナルです。黄色い山陽バスが発車を待っていました。
垂水東口から垂水小学校の山側に向かうと、Y字に分かれた道の又の部分にお堂がありました。こちらは池姫地蔵尊というお地蔵さんです。かつてこの辺りにはため池がありましたが、昭和初期の開発で池は埋め立てられてしまいました。その際、池の底から見つかったのがこちらの池姫地蔵尊です。ちなみに、垂水東口に発着する以前はこのお堂の傍に山陽バスの神田町停留所があり、他の神田町の乗り場と呼び分けるためにこのお地蔵さんに因んで「地蔵前」とも呼ばれていました。
池姫地蔵尊からかつてバスの走っていた坂道を歩いていくと神社がありました。こちらは瑞丘八幡神社です。
訪れたときはもう年末も近いというのに銀杏の黄色い葉がまだまだ残されていました。
瑞丘八幡神社の創建時期は分かっていませんが、古くからこの地域で祀られていたとされています。この神社の主祭神の神功皇后は海神社の創建にもかかわりがあるため、海神社と同様の時期に創建されたのではないかとも言われています。元々は厄除八幡でしたが、昭和6(1931)年に瑞丘社、荒神社、御霊社を合祀して社号を現在の瑞丘八幡神社に改めています。ちなみに、瑞丘社は菅原道真を祀る天満宮で、もとは山陽垂水駅の山側の天ノ下町にありました。商大筋の下を暗渠で流れる天神川の名前はこの瑞丘社に因んでいます。また、御霊社も福田川沿いの元々あった場所には御霊町の名前が残されています。
瑞丘八幡神社からは鳥居越しに垂水の町を見下ろすことができました。かつては一面に田畑が広がっていて、この八幡神社が「矢羽田の神」として村々を見守っていたそうです。
海の神と里の神に見守られた垂水は賑やかに年末を迎えようとしていました。