せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

築城400年・明石城を歩いて(後編)

投稿日:



こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前々回・前回に続いて、明石城を歩いてみたいと思います。

高低差を行く

本丸から坂道を下ることにします。山道のような坂道は意外に急で、ここが城内であることを一瞬忘れてしまいそうなくらいです。

桜堀

坂道を下ると、木々の中に池のような水面が現れました。こちらは桜堀です。ちょうど桜が満開で、名前にふさわしい景色が広がっていました。

明石駅から眺めると立派な石垣が築かれた平城に見える明石城ですが、以前も訪ねたように、台地に築城された平山城で、特に北面は自然の高低差やもともとこの地にあった池を堀として利用して築かれています。この桜堀も池を拡張して堀としています。

剛の池

さらに城内を歩くと、広大な池が現れました。こちらは剛の池です。この池ももともとこの地にあったものを明石城の外堀として使ったものです。明石公園の中では最大の池で、いくつものボートが浮かんでいました。

明石城を見上げる

剛の池から本丸の方を見ると、木々に覆われた姿はまさに山です。明石駅側からとは違った姿の明石城がそこにはありました。この辺りは同じく平山城の姫路城を北側から眺めた姿に似たようなものを感じます。

再び本丸へ

本丸へ戻り、明石公園とビルの立ち並ぶ明石の市街地を眺めてみました。
築城から400年、城は変わっていく明石の街をずっと眺めてきたのでしょう。

新しい令和の時代とともに築城400年を迎える明石城。城内を歩いてみると、市街地から眺めるのとは違った城の姿を見ることができます。
この10連休には明石城を探索してみてはいかがでしょうか。

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築城400年・明石城を歩いて(中編)

投稿日:



こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、明石城を歩いてみたいと思います。

明石城巽櫓

石段を上って、本丸に上がりました。本丸の南面には城壁があり、左右に三重櫓があります。
明石駅側から見て右側にあるこちらは巽櫓です。

巽櫓の内部

普段は非公開の巽櫓ですが、イベント期間中は公開日が設けられていて内部を見学することができます。

現在の明石城で残されている建物は南面にある二基の三重櫓だけですが、かつては北面にも乾櫓、艮櫓という三重櫓があり、天守はなかったものの、四基の三重櫓を始めとする数多くの櫓が建ち並ぶ大城郭でした。築城にあたっては藩内で廃城になった三木城や明石城の前身とされる船上城の資材が使われたとされ、巽櫓も船上城の天守だったと言われています。ただし、現在の巽櫓は火災で焼失したものを再建した江戸時代中頃の建築です。

人丸塚

本丸の真ん中に木々が生い茂った一角がありました。こちらは人丸塚です。明石城のある山にはかつて楊柳寺という寺院がありました。この寺院の裏手には柿本人麻呂の墓とされる塚があり、祠が設けられていました。後にこの地へ明石城が築城されることとなり、寺と祠は隣の山に移転し、現在の月照寺柿本神社となりましたが、塚は城の鎮守として城内に残されています。

坤櫓

南面を西に向かって歩くと、坤櫓が現れました。坤櫓は巽櫓と同じく三重櫓ですが、一回り大きく、天守のなかった明石城では天守代用として使われていたようです。もともとは伏見城の建物だったとされ、破風の格子が朱塗りになっているなど、優美な印象の櫓ですね。

明石城と桜

訪れた時は桜が見ごろで多くの方が花見と城の見学を楽しんでいました。

築城400年を迎える明石城。建物の多くは失われてしまっていますが、二基の櫓からもかつての大城郭を偲ばせることができます。次回はもう少し明石城内を歩いてみます。

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築城400年・明石城を歩いて(前編)

投稿日:



春が深まり、令和への改元が迫ってきたこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

明石公園

今回訪れたのは山陽明石駅の目の前に広がる明石公園です。
訪れた時は桜の花がまだ咲いていて、多くの方で賑わっていました。

築城400年

明石公園の入り口にはこんな看板が。
今年は明石城が江戸時代の元和5(1619)年に築城されてから400年の節目の年で、各種イベントが予定されているようです。

明石城

多くの人で賑わう明石公園に入ると、目の前には左右の櫓と立派な石垣がそびえます。以前は生い茂った木々で隠れていた石垣ですが、築城400年を迎えるにあたって樹木の伐採が行われ、美しい石垣が遠くからもよく見えるようになりました。

明石城は先述のように江戸時代の初めに当時の明石藩主・小笠原忠真によって築かれた城です。平野に築かれた平城のようにも見えますが、実は、西神からの丘陵地帯の西端にあたる人丸山に築かれた平山城です。西国への交通の要衝であった明石海峡と山陽道を抑える重要な立地である一方で、大坂の陣が終わってから築かれた城であるためか、築城には廃城となった城の資材が使われるなど、エコな印象の城です。

明石城の石垣を眺める

樹木が伐採されて露わになった明石城の石垣を見上げてみます。この辺りは木々が鬱蒼と茂っていて昼でも薄暗いくらいだったのですが、すっかり明るくなってしまいました。あの木々がすべて切られてしまったのかと思うと少し寂しい気分になってしまうのですが、今まで見られなかった石垣をこうして眺められるのは新鮮ですね。

桜と櫓

城への上り道の途中から櫓を眺めてみました。
桜の花と白い壁が眩しい櫓のコラボレーションも新しい景色ですね。

次回も築城400年を迎えた明石城を歩いてみたいと思います。

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西神の古刹・如意寺を訪ねて(後編)

投稿日:



こんにちは山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、西神の如意寺を訪ねてみたいと思います。

如意寺へ

仁王門から春の里を歩いていくと、如意寺の入口に着きました。

如意寺の境内

境内に入ると、広々とした敷地に文殊堂や三重塔が建ち並び、圧倒されてしまいました。現代的な西神南ニュータウンの近くにある寺院とはにわかには信じられなくなってしまいます。

古代に法道仙人によって開かれたとされる如意寺ですが、一時期荒廃し、平安時代の正歴年間に願西上人によって再興されたとされています。実際の創建時期はこの再興の時期だとも言われているようですが、詳しいことはわかっていません。そういえば、以前訪ねた明石の八木にあった来迎寺は奈良時代にここ如意寺で僧・行基が造った観音像をまつったことに始まるとされていたような…ということを考えると、より一層わからなくなってきます。ちなみに、発掘調査などからは12世紀頃の創建ではないかという説もあるようです。

三重塔

境内で目立つのは三重塔ですね。こちらは南北朝時代の至徳2(1385)年に建てられたとされています。

常行堂

境内の西には常行堂(阿弥陀堂)がありました。こちらは12世紀~13世紀の建築とされ、神戸市内では最古の建築物と言われています。境内にはこの他に本堂がありましたが、戦後に解体されてしまいました。そういえば、この常行堂と本堂、三重塔の位置関係は太山寺と同じですね。

本堂跡

常行堂の近くの本堂の跡地には、現在は礎石や灯篭、石段が残るのみで、ぽかんと空いた空間はどこか寂しげでした。本堂が残っていれば…と思うと少し残念な気にもなってしまいますが、残された立派な建造物や仁王門の位置からは、中世から近世にかけて、大寺院として大いに栄えた姿を今に偲ばせます。

西神南ニュータウンの中にまるで別世界のように静かに佇む古刹・如意寺。春のお散歩に訪ねてみてはいかがでしょうか。

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西神の古刹・如意寺を訪ねて(前編)

投稿日:



桜が咲き、春真っ盛りのこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

西神南駅

板宿から神戸市営地下鉄に乗り換えて到着したのは西神南駅

西神南ニュータウン

駅前にはマンション、その先には戸建ての住宅が建ち並び、ニュータウンの景色が広がっています。

南谷口ダム

住宅地の外周の歩道を歩いていると、木々の合間から水面が見えました、こちらは南谷口川に設けられた南谷口ダムのダム湖です。住宅地の中にこんなダム湖があるのはちょっと意外ですね。

春の里

南谷口ダムを回り込むように歩いていくと、南谷口川に合流する小川に出ました。川沿いには田んぼが広がる何とものどかな景色が広がっていて、ここが西神南ニュータウンの傍にあるとは一瞬信じられなくなります。

如意寺仁王門

田んぼの道を歩いていくと、大きな門が姿を現しました。こちらは如意寺仁王門です。

如意寺は大化元(645)年に法道仙人が開いたと伝わる寺院です。法道仙人は播磨一円で多くの伝説がある一方で、謎に包まれた人物で、如意寺についても本当のところは不明ですが、少なくとも中世からの長い歴史を持つ寺院ではないかと言われています。江戸時代には広大な寺域を有するようになったとのこと。

如意寺仁王門を眺める

如意寺の境内はこの仁王門からは少し離れていて、相変わらず春ののどかな景色が広がっています。かつてはこの辺りも如意寺の境内だったのでしょうか。

次回は如意寺を訪ねてみたいと思います。

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