せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

縄文遺跡と祭の地・藤江を歩いて(前編)

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年の瀬迫る頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

藤江駅

今回、電車を降りたのは藤江駅です。

青龍神社

藤江駅の北側には住宅地が広がっていますが、南側の国道沿いには昔ながらの街が広がっています。浜国道沿いにあったのが青龍神社です。

青龍神社の境内

国道から石段を上がり、青龍神社の境内へ。道路から高台にある境内は広々としています。

青龍神社は藤江の鎮守で、創建は鎌倉時代の建長6(1254)年とされています。ただ、それ以前にも厳島社がこの地にあったようで、元々の始まりはさらに古代に遡ることができるのかもしれません。境内の丘には藤江出ノ上遺跡という縄文時代の遺跡があり、この神社は遺跡の上に建っているとのこと。神社自体は鎌倉時代の創建ですが、古くから人が集まり祭祀が行なわれるような場所だったのかもしれません。

龍泉寺

藤江の町中には龍泉寺という寺院がありました。元々の藤江の集落はこの辺り、藤江川が播磨灘に注ぐ河口周辺に広がっていました。

龍泉寺の境内

浜国道から見上げた龍泉寺の堂宇は立派ですが、境内は禅宗寺院らしく静かな雰囲気でした。

藤江を眺める

龍泉寺から藤江の街を眺めてみました。瓦の家並みの向こうに播磨灘が眺められます。

次回はもう少し藤江を歩いてみたいと思いますが、年内の更新は今回までとなります。

今年も山陽沿線ブログ「せっつ・はりま歴史さんぽ」をご覧いただきましてありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。

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街道と伝説の街・大蔵谷を歩いて(後編)

投稿日:



こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、大蔵谷を歩いてみたいと思います。

西林寺

住宅地の中を歩いていると、西林寺という寺院がありました。
大蔵海岸を望む小さな寺院ですが、戦時中に小説家・永井荷風が疎開してきて、しばらく滞在したそうです。

稲爪神社

さらに住宅地の中を歩くと、稲爪神社にたどり着きました。
稲爪神社はかつて「稲妻神社」とも書きました。はるか古代に先ほどの穂蓼八幡神社に祀られている越智益射が創建したと伝わっています。

稲爪神社の境内

境内には冬の低い日差しが差し込んでいました。

稲爪神社ははるか古代の推古天皇の時代(593~628年)に大陸から攻め入った不死身の鉄人の率いる軍勢を越智益躬がこの地で迎え撃ったことに由来しているとされています。益躬は三嶋大明神のお告げで、鉄人の弱点である足の裏を弓で撃ち、見事に軍勢を撃退したとのこと。後に、鉄人を撃ったこの地に三嶋大明神を祀る祠を建てたことが始まりと言われています。さて、この鉄人は五体皆白銅の不死身の鉄人と言われていますが、一体何者なのかはわかりません。ただ、鉄人の率いた軍勢は西アジアから朝鮮半島の三韓(高句麗・百済・新羅の三カ国)を征服し、さらに日本に攻め込んできたとのこと。益躬がこの地で撃つことがなければ、古代の日本は征服されてしまっていたのかもしれません。

休天神社

稲爪神社から少し北側に歩くと、休天神社がありました。こちらは菅原道真を祀る天満宮です。伝説では大宰府に左遷される道真がこの地を通りかかり、石の上に腰かけて休憩しました。のちにこの石のそばに祠が建てられたのが始まりとされています。江戸時代に入り、延宝7(1679)年に当時の明石城主・松平信之が社殿を建て、神社としての姿が整えられました。不思議な神社の名前は道真がこの地で休んだことに由来しています。

天文科学館を眺める

休天神社の前の歩道橋に上ると、家並みの向こうに天文科学館を眺めることができました。

街道沿いに趣のある街並みが続き、不思議な伝説が残る大蔵谷。
初詣と合わせて歩いてみてはいかがでしょうか。

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街道と伝説の街・大蔵谷を歩いて(前編)

投稿日:



年の瀬のこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

大蔵谷駅

今回降り立ったのは大蔵谷駅です。

旧西国街道

交通量の多い国道2号線から横道に入ると、国道に並行するように東西に走る道がありました。
こちらはかつての西国街道です。大蔵谷は西国街道の宿場町で、道沿いにはうだつのある家が残されています。観光地化されているわけではありませんが、趣のある雰囲気ですね。

うさぎ

実は以前も訪ねたことがあるのですが、ある民家のうだつにはうさぎの飾りがありました。うだつは「卯建」とも書きます。この飾りは「卯」「うさぎ」をかけたのでしょう。洒落っ気のある飾りはこの地が宿場町として豊かに栄えたことを今に伝えるようです。

穂蓼八幡神社

街並みの中にあったのが穂蓼八幡神社です。

伝説では、古代の推古天皇の時代(593~628年)に大陸から攻め入った鉄人の率いる軍勢を越智益躬なる人物がこの地で迎え撃った偉業をたたえるために、子孫がこの地に越智益躬を祀る祠を創建したのが始まりとされています。以前はその名も越智神社とされていたそうですが、江戸時代に移転され、名前も現在の穂蓼八幡神社に改められたそうです。

穂蓼八幡神社の境内

もともと祠を由来とした神社ですが、境内は意外と広々としています。
現在、この神社の前の海岸は埋め立てられ、商業施設が建ち並んでいますが、かつては海岸が続いていました。

街道と伝説の地・大蔵谷、次回はもう少し歩いてみたいと思います。

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高取を歩く(後編)

投稿日:



こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、板宿から山手へと歩いてみたいと思います。

常福寺

高低差の中を歩いてたどり着いたのは常福寺です。

常福寺の境内

木々の生い茂る険しい高低差の中にぽっかりとあるオアシスのような空間です。

常福寺は奈良時代に僧・行基が蓮池の造成の際に創建したとされる「蓮華寺」を由来とする寺院とされ、長い歴史を持っています。境内には蓮池を造成した際の資材の木材で作った卒塔婆をはじめ、蓮華寺由来の品が保管されているとのこと。なお、かつての境内は斜面の下の西国街道沿いにあったそうですが、明治に入り、山陽電車の前身の兵庫電気軌道がこの地に軌道を敷設する際に現在の場所へ移転しています。

高取山へ

常福寺から住宅地の中を歩いていくと、急な坂道が現れました。

坂の上から神戸を眺める

坂の上から神戸の街を見下ろすことができました。冬らしい空模様ですが、遠く三宮や神戸空港まで見渡すことができました。

高取大明神

住宅地の外れに小さな神社がありました。こちらは高取大明神です。この先は高取山ですね。山をご神体としているせいか、神社には社殿がありませんでした。

高取山はかつては神撫山(かんなでやま)と呼ばれ、その名の通り信仰の山でした。山頂には高取神社があります。山の名前には諸説があるようですが、大昔に山が水没し、水が引いた後に松の木でタコを捕まえることができたという伝説から、「タコ捕り山」と呼ばれたことを由来としているという説もあります。ちなみに、浜側に下った「鷹取」の地名もこの山を由来としていて、一時期、山の名前も「鷹取山」とされていたこともあるようです。

高取山を眺める

麓から山を眺めてみることにしました。標高は300m余りとそれほど高くはありませんが、麓の街からはきれいな姿の山を望むことができて印象的ですね。

本当のところは高取山へ登りたいところでしたが、またの機会とすることにし、高取を後にすることにしました。

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高取を歩く(前編)

投稿日:



師走の頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

板宿駅

今回降り立ったのは板宿駅。地下にある山陽電車型コンビニも見慣れた景色になってきましたね。

商店街

駅前から続く商店街は買い物客で賑わっていて、早くもクリスマスの雰囲気です。

五位ノ池神社

商店街を抜けて住宅地の中を歩くと、小さな神社がありました。こちらは五位ノ池神社です。

「五位ノ池」というからには池があったわけで、古い地図を見ると五位ノ池をはじめ、多くの池が丘陵地帯に点在していたのを見ることができます。このため池で最も大規模だったものが山陽電車の西代駅の北東にあった「蓮池」で、こちらは奈良時代に僧・行基が築いたという伝説があります。今は住宅が建ち並んでいるこの辺りですが、かつては田園地帯で、ため池の水が田畑を潤していたのでしょう。

複雑な地形

北側の六甲山地から海に向かって傾斜が続くのが神戸の地形…と思いがちですが、この辺りは六甲山地の斜面の中に複雑に丘陵が入り組み、起伏に富んだ複雑な地形になっています。住宅地の中に目がくらむような高低差がありゾクゾクしてしまいますね。何度か書いたことがありますが、こうした高低差の景色がある意味神戸らしい景色のような気もします。

次回は山間の池の跡をたどりながらもう少し歩いてみたいと思います。

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