せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

秋の深まる下山手を歩いて(後編)

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こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前々回と前回に続いて、神戸の下山手を歩いてみたいと思います。

旧ハッサム邸

公開されていた旧ハッサム邸宅には秋の日差しが差し込んでいました。かつての小寺邸は神戸大空襲によって焼失してしまいましたが、このハッサム邸の西側の現在は迎賓館「THE SORAKUEN」になっている辺りに建っていたようです。

日本庭園

旧ハッサム邸を出て、日本庭園を歩いてみることにしました。木々が色づき始めた園内は秋らしい雰囲気で、結婚写真の撮影もおこなわれていました。

船屋形

池に面して佇む不思議な形の建物は船屋形です。

船屋形はその名の通り元々は船の一部だったものを改造した建物です。もとは江戸時代に姫路藩で使われていた川御座船で、藩主が川で遊覧する際に使われていたとのこと。幕末には飾磨港に泊め置かれていましたが、明治時代に入ると屋形の部分だけが陸揚げされて建物として使われるようになり、船としての機能は失われました。その後、所有者が移り変わり、戦前の昭和14(1939)年には舞子の民家の敷地内に移築されました。この民家も神戸淡路鳴門自動車道の建設により現存していませんが、この船屋形は歴史的価値が認められ保存のために神戸市へ寄贈され、昭和55(1980)年にここ相楽園へ移築されてかつての華麗な姿が復元されました。

船屋形と紅葉

春慶塗と黒漆塗で塗られて金の金具が輝く船屋形が少し早い紅葉の日本庭園に佇んでいました。船屋形も、先ほど訪ねた旧ハッサム邸も、もとからこの場所にあったわけではありませんが、不思議と景色に調和しているように見えます。

相楽園を歩く

神戸で財を成した小寺家の邸宅跡は美しい庭園に神戸にゆかりのある建物が建ち並ぶ公園となっていました。今では兵庫県公館とともに都会のオアシスのような空間です。これからの季節、神戸の街の真ん中とは思えないような紅葉に彩られることでしょう。神戸の都心でも紅葉狩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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