残暑の続く頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
山陽姫路駅からJR播但線に乗り換えて着いたのは野里駅です。
商業施設や集合住宅の建ち並ぶ野里駅前を通り抜けると、古い住宅地が広がっています。街中に佇む道標には「左 増位山道」と記されていました。
道標に従って小川沿いに歩いていくことにしました。緩くカーブを描いたこの道はかつての巡礼道で、この道を辿った先には増位山随願寺があります。
朱塗りの橋の向こうに小さな森が佇んでいました。こちらは佐伯神社です。
今も「白国」と呼ばれているこの辺り一帯は古くから白國氏という豪族が治める土地でした。佐伯神社の祭神の阿良津命は白國氏の始祖とされる稲背入彦命の曽孫に当たり、初の播磨国造に任ぜられました。後に応神天皇より「佐伯」の姓を賜ったとされています。佐伯氏は「白國」に姓を改めますが、ここ佐伯神社は白國の発祥の地といえるのでしょう。
森の中に入ると、意外に小さな社殿が佇んでいました。建立後しばらくして忘れられてしまったこの神社は「野狐禽獣の栖(やこきんじゅうのすみか)」と言われるほど荒れていたそうです。現在の社殿は江戸時代の享保19(1734)年に白國宗得が建立して再興したものです。
姫路の北側、廣峯・増位の山々を望む白國地区をもう少し歩いてみたいと思います。