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【2010号】山陽電車史上最高のロマンスカー

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前回、東二見車庫で撮影された写真のうち、現役を退いた後もそのまま留置されていた2000系2010号。ロマンスカーとしてさっそうと登場したときの姿をご紹介します。
※写真は全て山陽電車OBが撮影し所蔵しておられたものです。

現役最終時の2010号(2010-2500-2011)。先日ご紹介した廃車後と同じ姿です。む~パパ世代ではこの姿で走っていた印象が強く、1編成しかなかったので、いつも見るのにいざ撮ろうとすると苦労したのを思い出します。この頃になるとすでに車内はロングシートで、普通列車専用でした。(ロマンスカー時代は記憶にありません。)

1960(昭和35年)、山陽電車初となるステンレスカーとして登場した2500号。先頭車2010-2011より半年ほど早く完成し、在来の2000系に挟まって運用されました。写真は2006-2007の間に挟まっている2500号の姿ですが、2010号登場前の半年間のものなのか、その後よく中間車を差し替えて運用していた時のものなのか、本当のところはっきりしません。

こちらは3両が揃い、公式試運転に出た時の姿。大きなケースに収められた1灯のヘッドライトは当時の国鉄電気機関車EF60と同じ形のものです。方向幕はまだ付いていません。
2010号の側面。当時はステンレス製の車両は極めて珍しく、銀色の電車自体ほとんどの人は見たことがなかったと思われ(注:戦後すぐに航空機材料ジュラルミンを外板に使用した銀色の電車はありましたが腐食により長持ちしませんでした)、ものすごいインパクトがあったものと思われます。台車も空気ばね付きのもので、フワフワして乗務員が酔ったというくらい柔らかな乗り心地だったとか。む~パパ、この写真を見ていて、中間車2500号とは窓回りの仕上げが違っている(2500号は梨地になっていた?)ようにも思うのですが、よく分からず謎のままです。
2010号の車内。扉間は転換クロスシートを配置したいわゆるロマンスカーでした。この前年に登場した2008号から移してきたという話です。1948(昭和23)年、戦後日本初のロマンスカーを走らせた山陽電車の最高峰とも言える豪華車両でしたが、この頃よりラッシュ時の混雑が激しくなって、このような車両では運びきれなくなってきました。実際、この次に登場する2012号(日本初のアルミカー)からは3扉ロングシート車となり、クロスシートの車両は5000系まで登場しませんでした。また、2扉の車両はこれが最後となりました。
2010・2011号には1両に2か所、換気扇が設けられていました。写真は車内側。この後、3000系の非冷房車に至るまで、同じ換気扇が採用され続けることになりました。
2011号の運転台。2000系はブレーキ方式が後に登場した3000系とは異なっており、今から思えば取り扱いの難しいものでした。ブレーキ弁が少し斜めに付いているのが特徴的です。また、当時架線電圧が600Vだった阪急・阪神両線へ乗り入れることが出来るよう、600/1500Vの両方で走ることが出来る複雑な制御器を積んでおり、故障に悩まされたといいます。
明石車庫(西新町)で休む2010号。1960年当時としては非常に先進的な意欲作で、この車両が銀色に赤帯を巻いていたことから、山陽電車のイメージカラーが「赤」になったと言っても差し支えないエポックメーキングな車両でもありました。

過去に活躍した山陽電車については、資料を基にできる限り正確に記載するよう努めますが、誤り等ございましたらご指摘いただければ幸いです。

【2010号】山陽電車史上最高のロマンスカー” への9件のコメント

  1. 5000系デビューも衝撃的でしたが、このステンレス車もかなりのインパクトだったでしょうね。 
    エアサス台車にカバー付きシートは国鉄2等車そのもの! 
    当時としては国鉄急行を上回る設備ですね。

    • 川崎ライナーさま コメントありがとうございます。
      現在は銀色の車両が一般的になり、塗装してあるほうがややマイナーな存在になりつつありますが、当時は恐らく目にすることが無かったはずで、沿線のみなさまも驚かれたことと思います。国鉄に至っては並行区間では51系や73系、80系の吊り掛け車が幅を利かせており、レベル差はものすごいものがあったと思われます。

  2. 特別料金を必要としない車両としてはハイグレードだと思います。
    2010号の前年にデビューした名鉄5500系も特別料金を必要としない車両でありながらも転換クロスシート、さらには初の冷房車でした。

    • E7系とW7系さま コメントありがとうございます。
      名鉄5500系は冷房も付いていましたね。関西の通勤車両に冷房が付き始めたのは昭和44(1969)年以降であり、これを考えると名鉄はかなり進んでいたと思われます。

  3. 2000系は鋼製・ステンレス製・アルミ製、旧型からの改造車2700型や2300型も入れるとバラエティーに富んだ形式で、見ていて楽しかったですね。
    私もむ~パパとほぼ同世代なのでロマンスカー時代の記憶はありませんが、この2010号は空気ばね台車を履いてカッコいいなあと思っていました。引退後、この車両が冷房とブレーキ装置の改造を受けて琴電辺りでもう一度活躍する姿を期待していました。

    • 村雨堂さま コメントありがとうございます。
      3050形のアルミカー登場時は旧型車もまだまだ活躍していた頃で、2000系は残った全編成も健在で趣味的には楽しかった時代と言えます。琴電は300形の移籍話があったとか無かったとか。2000系は複電圧仕様で制御器が複雑だったので他社で活躍したかというと微妙ですが、旧阪神車が車体だけ移っているので別に狭軌鉄道でも車体だけでも残れば良かったかなと思います。構造的には鋼製の骨組みに外板だけステンレスのセミステンレス車ですので、内部構造は腐食が進んでいたのかも知れません。

  4. なんというめちゃくちゃものすごい貴重な写真、ありがとございます。
    この車というか2000系クロス車には、幼稚園生の頃(1970年頃だったか)に須磨→明石で、今はなき西新町行き普通車で乗った記憶があります。
    その当時は特急車はもう3000が主流で、2000系普通鋼クロス車も順次3扉ロングシートに改造され始めてた頃でした。
    この2010の編成は、その設備の豪華さと乗り心地の秀逸さから、最後までクロスシートで残り、阪神阪急にも乗り入れてました。
    そう、あの緑色の「山陽ー阪急」、紺色の「山陽ー阪神」の横サボを表示して・・・
    小学校に入り、実家の最寄りの荒井から明石まで塾通いしてましたが、私の乗る普通車は、なぜかいつもことごとく300系ばかり。2000系は普通鋼車にあたること多くて、ステンレス車が来た!と思ったら、3扉の2014が来たり、と、運用の都合でしょうが2010に乗る機会が本当に少なかった記憶があります。
    ところでこの編成、どっち側のM車か記憶に残ってませんが、モーターが独特な、けどめちゃかっこいい音を出してました。当時小学生の私はラジカセ用意してこの音を録音しようと思いましたが、あろうことか私の目の前で東二見に入庫してしまったという、残念無念な思い出がありまして。(1975年頃)
    後年、最末期にこの2010編成に乗る機会がありましたが、その頃にはもうその音は聞けませんでした・・・

    とにかくこの2010の編成と言えば、その独特なモーター音の記憶が鮮烈でしたが、どなたかご記憶の方はおられますでしょうか?

    • だらだらぐうたら さま コメントありがとうございます。また、素晴らしい思い出をお持ちですね!
      2010号の片側M車モーター音の話ですが、私には分からないことでしたのでその道の詳しい方々にご意見をお伺いしました。モーターそのものは2000-2001の編成のみ川崎電機製で、それ以降は三菱製なのですが、両者に違いはあるものの音はそんなに変わらなかったとのお話でした。また、皆さま方のお話を総合すると、モーターそのものではなくベアリングなど付属している部品から出ている音ではないか、とのこと。どちらかというと正常な状態ではないため検査で調整されてしまい、そのうち聞けなくなったのでは?ということかも?です。ただ皆さまはその音を聞いてみないと何とも言えないという、まあ、それはそうですが、2010号の片側M車だけの独特な音というのは情報としてこれ以上ありませんでした。

      昔の山陽電車の思い出、みなさまからお寄せいただければ幸いです。

      • 貴重なお話、ありがとうございます。
        >2010のモーター音
        なるほどなるほど、モーター音というよりも、ギヤ部の音だったかも、でしたか。
        後年音がしなくなってたのも、納得であります。
        2000トップナンバー編成姫路側の2001のモーター音(というかギヤ音ですかね)も、2011ほどではありませんが独特の音をしてた記憶があります。
        3000系や5000系のMB3020は基本が近鉄10100と同じですが、同じ三菱系モーターということからなのか、近鉄12200に乗ったときには山陽3000系列と同じ音がしてました。
        逆に山陽3000のモーター音聞いて「お!近鉄NSだ!」と思ったり…
        メーカーによってモーター音に特徴がある、とわかったのは、ずっと後年になってから・・・

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