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【東須磨】鷹取工場で整備されたSLたち③~王子動物園のD51 211号(鷹取工場製造番号1)

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神戸・王子動物園の外側から見える位置に設置された蒸気機関車D51。この機関車の特別な由来はご存じでしょうか?
最多の1115両が製造され、日本全国で活躍したデゴイチことD51。王子公園に保存された211号は、実は須磨区の鷹取工場で初めて製作された蒸気機関車なのです。
当時、蒸気機関車をはじめとする鉄道車両は川崎車輌など専門のメーカーで作られていたのですが、技術力向上を目指して国鉄工場内でも製作されるようになりました。須磨区の鷹取工場でも蒸気機関車の製作に取り組むこととなり、1938(昭和13)年、最初に作られたのがこのD51形211号なのです。「D51 211」のプレート下に「鉄道省 鷹取工場 昭和13年 製造番号1」の楕円形銘板が取り付けられています。この後も鷹取工場は多くの蒸気機関車を製造しましたが、記念すべきその第1号が王子動物園のD51 211号なのです。

ここで、かなり貴重な写真を公開しましょう。

1971(昭和46)年5月。王子動物園での保存のため、国鉄鷹取工場で整備されたD51 211の美しい姿。同工場では各地で保存される蒸気機関車の整備をしていましたが、このD51 211はこの工場で生まれた第1号の機関車であることから、やはり特別な思い入れがあったようです。(写真所蔵:国鉄OB)
鷹取工場の製造1号機ということもあり、王子公園へ送り出すための盛大なセレモニーが営まれました。多くの工場職員が同席のもと、風船が舞い、美しく整備されたD51は工場を後にしました。
(写真撮影・所蔵:国鉄OB)

鷹取工場に勤務する職員は、近隣社宅(国鉄アパート)に住んでおられる方も多く、最寄りの東須磨駅から山陽電車を利用する方も多かったそうです。山陽電車とも無縁ではない神戸ゆかりのD51。末永く大事に保存されることを祈ります。

【東須磨】鷹取工場で整備されたSLたち②~太子山公園のD51

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東須磨駅も最寄りだった旧国鉄鷹取工場で整備された保存機関車。今回は第2回として太子山公園(兵庫県太子町)のD51を紹介します。

JR網干駅より北へ約2㎞。太子町役場にほど近い太子山公園。網干(山陽網干駅より南側)と播磨新宮を結んだ播電鉄道が遊園地を経営していた場所です。近隣には同鉄道の車庫跡があり、ピットの跡が残されているそうですが、それはまたの機会に取材するとして・・・。この公園にD51が保存されています。
立派な屋根の下で保存されるD51 345号。
4つの動輪が「D」の証。定期的に手入れされているようで、今にも走り出しそうです。
キャブ(運転室)。丸い旋回窓が取り付けられているところから見て、厳しい冬を越してきた機関車であることが分かります。そう、この345号機は1940(昭和15)年に日立製作所(山口県)で製造され仙台に配置された後、戦後は主に北海道で活躍した機関車なのです。1976(昭和51)年、追分で廃車となり、保存のため鷹取工場で整備されました。
鷹取工場構内で。恐らく同工場に入場したのは初めてではないでしょうか。撮影日時不明ですが、廃車・保存時期から見て1976(昭和51)年と思われます。

鷹取機関区に隣接する留置線で。短い排煙板(デフレクタ)や装備から北国のD51であることが分かりますが、縁もゆかりもない太子町に保存されたとはいえ現在も大切にされており、幸せな余生を送っていると思われます。

国鉄マンの手により美しく整備され送り出されたSLたち。現在の姿を追います。