楽しいむ〜さん一家

【KIITO】税関の次は旧生糸検査所へ【近代建築】

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先日、神戸税関内を見学したむ~パパ、続けて東側に向かい合う旧生糸検査所(現デザイン・クリエイティブセンター神戸「KIITO」)の中へ初めて入ってみました。

「KIITO」東側は旧神戸市立生糸検査所で1927(昭和2)年築。旧館と呼ばれています。後方に角度を変えてつながる建物は生糸検査業務が国に移管された後、1932(昭和7)年に増築された部分で、こちらは新館と呼ばれています。新館の角度が変わっているのは、神戸臨港線の線路がちょうどここを通っていたからです。現在は日本で一番短い国道として有名な174号線に面しています。
重厚な石造りの正面玄関が魅力的です。
建物に入ると左右は階段となっています。曲線を多用した意匠が、いかにも近代建築らしい雰囲気を醸し出しています。
階段部分を側面から見ると、階段そのものがうまくデザイン処理されているのが分かります。石材を多用し贅沢な仕上がり。
上の階はさすがにデザインがシンプルになりますが、曲がりくねった手すりが魅力的です。
大量の生糸を持ち込む必要性からエレベーターは当時からあったのではないかと思います。上部にある半円形の表示は元々のデザインなのか、それとも時計のように針が回るタイプだったのか、興味は尽きません。

さて、「KIITO」。現在は貸しホールやギャラリー、会議室、カフェ、図書館などに利用され、一部は企業のオフィスも入居していますが、旧館2階部分には「生糸検査所ギャラリー」があり、生糸の検査方法や歴史が当時の映像資料や器具などと共に展示され、往時をしのぶことができます。かつて日本で最も重要な輸出品だった生糸。その品質管理が厳正に行われていたことを示しています。

限りなく昭和な空間。
生糸はいくつかの工程を経て、等級、正しい量であるかどうか、品質が保たれているかなどのチェックを受け輸出されていきました。こうした国立検査所は横浜と神戸に設置されていました。

こうした展示を見ると、少~し賢くなったような気分になりますね。ぜひお訪ねください。

【神戸税関150周年】館内ロケ地巡り

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今年は、江戸時代に設けられた全国の「運上所」が「税関」と名を改めて150周年にあたります。これを記念し神戸税関で開催された「館内ロケ地巡り」に参加しました。

多くのバスや車が行き交う三宮・フラワーロード。山側から見ると突き当りに円筒形の時計塔を持つ神戸税関の建物がよく見えます。
以前も「神戸臨港線を歩く(←リンク先へ)」でご紹介した新港地区の近代建築群。シンボル的存在がこの神戸税関です。左が旧神戸市立生糸検査所、その奥に少し新港貿易会館が見えています。今回は税関の建物に入って見ましょう。

入口を入るとまず目に飛び込んでくる丸い空間。3階部分まで吹き抜けになっています。

上から見下ろしてみました。床のタイル模様が凝っています。
今回は「ロケ地巡り」ということで、この場所を使った映画やテレビドラマが紹介されていました。どのシーンに登場するのか、よくご存じの方もいらっしゃることでしょう。2/4~12の期間中、土日は神戸フィルムオフィスによるガイドツアーがありましたが、各回15名ということで整理券は「瞬殺」状態でした。
現在見られる時計塔部分は2代目庁舎として1927(昭和2)年に竣工しました。この模型は建築当時の姿を再現したもので、平日であれば広報展示室でいつでも見ることができます。
1999(平成11)年に完成した現在の3代目庁舎の模型。2代目庁舎の正面部分をそのまま残し、同じデザインで連続性を持たせて長く延長したスタイルとなっています。なかなか素晴らしいアイデアだと思います。
中庭から時計塔部分を。この部分、元は中庭ではなく屋根のかかった室内部分でした。オブジェとして当時のものと思われる柱が使われ、明るい雰囲気の空間となっています。ガラス張りの廊下として残した部分がおしゃれですね。
順路に沿って進むと特別会議室と旧貴賓室が公開されており、中に入ることができました。2代目庁舎を流用した区画です。
特別会議室。他の部屋の内部は分かりませんが、ここは当時の姿を残しているようです。「海賊と呼ばれた男」のロケで使われたそうです。
旧貴賓室。建物正面のカーブした部分に作られており、扇形の部屋です。実用的ではない形ゆえか優雅な感じがしませんか。あ、そうそう。上写真の模型でもここにはきちんとカーテンが付けられていました。明らかに製作者のこだわり(笑)です。
貴賓室付属のトイレ。大理石張りの壁に洗面台の鏡。使うのがもったいないです。(実際にこの日は「使用禁止」となっていました。日頃から使われているのかどうかは不明です。)

外から見ることの多い近代建築ですが、中に入れる機会があれば今後ともご紹介したいと思います。