せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

霊岩の佇む磐座・高岳を訪ねて(後編)

投稿日:


こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、姫路の高岳・今宿を歩いてみたいと思います。

高岳神社鳥居

昌楽寺から住宅地を歩いていくと、家並みの中に立派な鳥居と灯篭が佇んでいました。高岳神社の鳥居です。

高岳神社

鳥居をくぐり、参道を西へ歩くと、木々に囲まれた丘に突き当たります。その名の通り、高岳神社はこの丘の上にあります。よく見ると、木々の間から見えるのは岩肌のようで、この丘全体が大きな岩でできているように見えます。まさに磐座というべきでしょうか。

高岳神社の境内

石段を上がると、険しい岩山の上に佇む社殿にたどり着きました。

高岳神社は平安時代の延喜式神名帳にもその名が記された古社です。創建時はここから北の八丈岩山に社殿があったそうですが、後に現在の場所へ遷っています。この場所へ遷った理由は縁起にもはっきりと記されていませんが、この岩山があったためでしょうか。

蛤岩

社殿の裏手に上る道を歩いてみました。社殿の裏は木々がほとんどなく、岩肌が剝き出しになっていて、まるで高山のような荒々しい景色に驚いてしまいました。岩山の頂には玉垣に囲まれた巨岩が佇んでいました。この岩は蛤岩と呼ばれる霊岩です。海から離れた内陸の丘の上に佇む岩ですが、この岩からハマグリの化石が発見されたことから蛤岩と呼ばれるようになったとのこと。発見された化石は神社の宝物とされているそうです。それにしても、姫路の近郊にこんな光景があるとは驚いてしまいました。このブログで播磨平野の丘をいくつも巡ってきましたが、多くは木々に囲まれた丘で、このような岩山は他には高砂の生石神社を思い出すくらいでしょうか。

蛤池

高岳神社の裏手へ降りると蛤池と呼ばれるため池がありました。背後の新緑の木々に覆われた山は蛤山で、山の中腹には高岳神社の御旅所があります。高岳神社の丘と尾根続きになっているこちらの山は地域のシンボルとなっているそうです。木々に覆われてわかりにくいのですが、この蛤山も岩山で、木々の合間からは姫路市街を一望できるとのこと。

蛤山を眺めて

蛤池越しに蛤山を眺めてみました。
青空の下に佇む新緑の山は眩しいくらいに輝いているようです。水面を渡る初夏の風を感じながら、磐座に見守られた村を後にすることにしました。