せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

兵庫大仏と柳原を訪ねて(後編)

投稿日:


こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、兵庫の街を歩いてみたいと思います。

月輪影殿

大仏が目立つ能福寺ですが、本堂は境内の奥に佇んでいます。「月輪影殿」と呼ばれる本堂は京都・東山の月輪御陵の拝殿を移築したものです。この地に移されたのは昭和28(1953)年のことで、それまでは明治・大正・昭和の歴代天皇陛下が参拝された由緒ある建物です。

柳原天神社

能福寺を出て街中を歩くと、小さな神社がありました。こちらは柳原天神社です。平安時代には大宰府へ向かう菅原道真が大輪田泊に上陸してこの地に立ち寄り、歌を詠んだという伝説が伝わっています。

満福寺

柳原天神社の裏手にあったのが満福寺です。建物は太平洋戦争中の神戸大空襲で焼けてしまったために新しいものですが、鎌倉時代の延慶元(1308)年に一遍上人の後を継いで時宗を率いた他阿によって創建されたという古刹です。

時宗寺院はちょっと珍しいのですが、この辺りでは、兵庫運河の向こうに普照院がありますね。一遍が開き、踊念仏で知られる時宗(時衆)は中世の都市を活動の拠点としていたそうです。この辺り柳原は兵庫の街の西端の地区にあたります。時宗寺院が多くあるところは中世に都市として栄えていた場所ともいえます。中世都市には近世以降に衰退し都市の体裁をとらなくなったところが多くあります。そうした中で、現代まで都市として発展し続けてきた兵庫の街は貴重な存在なのかもしれませんね。

柳原惣門の跡

阪神高速の高架をくぐると、兵庫駅はもう間近です。兵庫駅の近くに佇む柳原蛭子神社の傍には柳原惣門の跡がありました。ここは兵庫の西の入口にあたります。古代から中世の趣を感じながら歩いてきた兵庫の街の散策も終点ですね。

これから春を迎える兵庫、新しいスポットを訪ねながら歩いてみてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。