せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

初代県庁館オープン・兵庫津を歩いて(前編)

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暖かくなり、春を感じることが多くなったこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。

中央市場前駅

地下鉄海岸線で着いたのは中央市場前駅です。駅名の通り、駅の東側には神戸市中央卸売市場の建物があります。

県立兵庫津ミュージアム

駅のすぐそばでは何やら工事中です。こちらでは「県立兵庫津ミュージアム」が整備中で、工事中のこちらの一角では2022年度下期に「ひょうごはじまり館」がオープンする予定です。

初代県庁館

中の島交差点を曲がり、兵庫運河の方へと歩くと、和風建築が迎えてくれました。こちらは県立兵庫津ミュージアムの中の「初代県庁館」で、先ほど訪れた「ひょうごはじまり館」より一足先の2021年11月にオープンしています。

現在の兵庫県本庁舎は神戸市中央区の下山手通にあり五代目の庁舎です。では初代はというと、ここ兵庫にありました。慶応4(1868)年に兵庫県が設置された際、県庁はここ兵庫にあった江戸幕府の大坂町奉行所の勤番所に設けられていました。もともとこの場所には中世に兵庫城があり、江戸時代初めに尼崎藩領に組み込まれた際には尼崎藩の陣屋の兵庫陣屋が設けられていて、港町・兵庫を拠点となっていました。長らくこの近くに石碑があるのみでしたが、2021年11月3日、初代兵庫県庁舎を復元した「初代県庁館」がオープンしました。

初代県庁館の内部

門をくぐると、中には真新しい瓦屋根の建物が連なっています。現在の兵庫県本庁舎や四代目の庁舎だった兵庫県公館と比べると随分趣きが異なりますね。

吟味場

内部にはこんな一角もありました。こちらは吟味場、所謂「お白洲」です。当時の兵庫県は「県」と名前が付くものの、実態は幕府領を明治新政府が治めるために設けたもので、県域は兵庫津とその周辺に点在し、その周りには江戸時代からの「藩」が残されていました。現在のような「県」が置かれるのは明治4(1871)年の廃藩置県を待つこととなり、この庁舎が使われたのはまだまだ過渡期とも呼べるような時期でした。こんな近世的な空間があるのも、そんな時代だったことを感じさせますね。

県立兵庫津ミュージアムが整備され、注目を浴びつつある兵庫津。次回ももう少し歩いてみたいと思います。