せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

トアロードを歩く(後編)

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こんにちは、山陽沿線歴史部の内膳正です。
前回に続いて、トアロードを歩いてみたいと思います。

神戸モスク

トアロードから横道に入ると、ミナレットと呼ばれる塔がそびえるエキゾティック な建物がありました。こちらは神戸モスクと呼ばれるイスラム教の寺院です。モスクとしては日本で初めて昭和10(1935)年に建てられたもので、思ったほど大きくはないものの風格があります。神戸といえば、異人館に代表されるようにヨーロッパの影響が印象的ですが、その他にも中華系、インド系、イスラム系と多くの外国人が集まる町でした。

旧ビショップ邸

トアロードをさらに登っていくと、坂道の途中に目立つ異人館がありました。こちらは明治27(1894)年にドイツ人貿易商が自邸として建てたもので、現在は中華料理屋となっています。神戸で現存する最古の異人館と言われ、ガラスを多用した外観が印象的ですね。

トアロードという名前

坂道をだいぶん上がり、山本通との交差点に着きました。振り返ると神戸の町が広がっています。

今まで歩いてきたトアロードですが、そういえば「トア」とは一体何なのでしょう。神戸の他の道は生田神社に由来する「生田ロード」、花時計に由来する「フラワーロード」とわかりやすい命名の道が多いのですが、このトアロードだけが何だか不思議な名前です。通の名称自体は坂の上にあったトアホテルに由来すると言われていますが、それでは「トア」の意味がよくわかりません。この「トア」の由来には諸説あるようです。漢字で「東亜」と書いたという説、「tor」が英語で岩山、ドイツ語で門を意味するという説、トアホテルの紋章の鳥居のローマ字表記からという説等があるようですが、はっきりとしないようです。

神戸外国倶楽部

坂を登りつめると、ゆったりとした門の前にたどり着きました。こちらは神戸外国倶楽部という社交クラブです。トアロードの由来とされるトアホテルはこの場所にありました。門の中に入ることはできなかったのですが、高台にある敷地からはいい景色が眺められそうです。明治41(1908)年の開業当時は「スエズ以東の最高級ホテル」と言われていたそうですが、戦後、進駐軍に接収され、その最中の昭和25(1950)年に火災で焼失してしまいます。「トア」の名称の謎も歴史の彼方に消えていくことになりました。

今でも謎のあるトアロードですが、今も昔も神戸の流行の発信地であることは変わりません。歴史さんぽの後はゆっくり買い物でもしながら坂道を下り下りることにしました。

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