せっつ・はりま歴史さんぽ|山陽沿線歴史部

須磨の路地をゆく(後編)

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こんにちは。
山陽沿線歴史部の内膳正です。

前回に引き続き、須磨を散策してみました。

山陽電車の築堤

須磨の路地を抜けると、山陽電車の築堤が目の前に立ちはだかりました。
兵庫電気軌道として開業した山陽電車は、当初、写真右側の国道上を路面電車として走っていました。しかし、鉄道の近代化を迫られたことや、戦時体制に入ったことで国道の交通量が増えたことなどから昭和20(1945)~昭和23(1948)年にかけて、今の築堤上の専用軌道「西須磨線」に切り替えられました。
間もなく開業から70年近くになるこの築堤もまた歴史のある構築物なのです。

石積み

山手の住宅地へ抜ける道路の壁面には石積みが。
補修工事がされていますが、味わい深い色合いに染まった石は建設当時からのものなのでしょうか。

路地の奥のトンネル

山陽須磨駅近くの路地の奥にぽっかりと口を開けるトンネル。
どこに通じているのでしょうか。
穴があったら入るべし!
路地歩きの鉄則です。

トンネルの中はこんな感じ
トンネルに入ると、天井部分は補修がされていますが、下半分は石積みのままです。

トンネルを抜けると

トンネルを抜けると、すぐ上に電車が停まっていました。
実はこのトンネル、山陽須磨駅ホームの真下にあるのです。
トンネルを抜けた道は急な坂道で山手の住宅地に伸びていきます。
地図を見ると、この先にも面白そうなスポットがあるみたいなのですが、暑くて疲れてきたので、今回はこの辺で終了ということに。

須磨の路地歩き、いかがでしたでしょうか。
みなさんも、見知らぬ路地に入ってみれば、新しい発見があるかもしれませんよ。
※住宅地では、大人数での訪問や大きな音を立てるなどの住民の方の迷惑になる行為は絶対におやめください。

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須磨の路地をゆく(前編)

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向暑の候、皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
山陽沿線歴史部の内膳正です。

前回ベルトコンベヤ跡を訪れた後、須磨の町中を散策してみました。

線路際の神社

早速発見したのが、JRの線路際にある小さな神社。
高吉大善神という名前とのこと。

高吉大善神

歴史のありそうな神社ですが、残念ながら、由緒などの説明はなく、どのような神社なのかはわかりませんでした。大善神という神様もよくわかりませんが、境内に狐や稲穂の紋があるので、お稲荷さんなのでしょうか。よく手入れがされていて、住民の方に大切にされている神社だというのが伝わってきます。

鳥居の向こうは

鳥居の向こうはすぐに線路で、轟音をあげて電車が通過していきました。
なんとなく、神社が先にあって後から線路が敷かれたのかなと思うのですが、そのあたりの経緯については今後の調査課題としましょう。

路地は続く

神社から路地は続いていきます。
もう少し、この辺りを散策してみようかと思います。ということで、次回に続きます。
※この界隈は住宅地になっています。大人数での訪問や大きな音を立てるなどの住民の方の迷惑になる行為は絶対におやめください。

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海へ行った山の名残

投稿日:



軽暑の候、皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
山陽沿線歴史部の内膳正です。

神戸と言えば、港町。
海沿いにはポートアイランドや六甲アイランド、神戸空港など、多数の人工島や埠頭が築かれています。
さて、これらを作ったときに使われた土砂がどこからきたものか、みなさんはご存知ですか?

実は、西神の山から運ばれてきたものなのです。
山を削って団地を造成し、発生した土砂を埋め立てに使って海にも土地を造成するという一粒で二度美味しいとでもいうべきこの事業は、当時としてはかなり画期的なもので、「山、海へ行く」と謳われました。
今回は、”海へ行った山”の名残を求めて、須磨を歩いてみたいと思います。

須磨浦を望む

山陽須磨駅から須磨海岸へ出て西側を眺めると、白砂青松の須磨海岸が続き鉢伏山がそびえています。
小さいのですが、山の中腹には須磨浦ロープウェイの姿も見えました。

コンクリートの土台

ハマヒルガオの咲く海岸を歩いていると、姿を現したのが白いコンクリートの土台のような建造物。
海に遊びに来た少年たちの自転車置き場になっているこれは…?

ベルトコンベヤ

実は、これ、西神丘陵で採取した土砂を船に積み込むために運んでいたベルトコンベヤの跡なのです。比較的最近まであったので、「見たことある!」という方も多いのではないでしょうか。
ちなみに、このコンクリートの部分には機械室があったそうです。

このベルトコンベヤは昭和39(1964)年に建設され、高倉団地を最初に横尾団地、名谷団地…と西神の団地の造成で発生した土砂を平成17(2005)年まで運び続けました。
最終的には14.5kmもの長さになったそうで、幅4~5mのトンネルが須磨海岸から西区の神戸複合産業団地へと伸び、文字通り、神戸市の西部を縦断していました。

初夏の海

土砂を船に積み込んでいた須磨船積桟橋はベルトコンベヤの稼働停止の後に撤去され、今は須磨浦の海が穏やかに広がるのみです。
もし今もここに巨大な構造物があれば、先ほどのような須磨浦の美しい景色は見ることができなかったでしょう。しかし、神戸の歴史の中にベルトコンベヤの存在があったことは確かです。釣りや海水浴などレジャーの合間に、今の神戸の街を築き、ひっそりと消えていったベルトコンベヤに思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

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魚住の住吉神社へ

投稿日:



薫風の頃、皆様方におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
山陽沿線歴史部の内膳正です。

ちょっと間が空いてしまいましたが、魚住編、実はまだ続いています。

茨木酒造から山陽魚住駅の方へ歩いていくと、見えてきたのは鬱蒼とした森。
なんと雄略天皇8(464)年の創建と伝えられる、長い歴史を持った住吉神社の森です。

藤棚

境内に入ると立派な藤棚が。
私が訪れた時は少し早いようだったのですが、今ではかなり見頃になっているそうです。

この藤は祓除の藤(はらいのふじ)と呼ばれていて、この神社の御神木とされています。御神木に藤とは、何だか珍しいですね。
摂津国に鎮祭されていた住吉大神のお告げで海に流した藤の枝が流れ着いたこの地に社を建てたのがこの住吉神社の始まりであるという伝承があり、それに基づいて明治時代に氏子総代が寄進したのがこの藤だそうです。

能舞台

境内を進んでいくと、本殿と向かい合うような建物が現れました。
こちらは能舞台で、明石市内で能舞台が残っているのはここだけだそうです。
寛永4(1627)年に初代明石城主・小笠原忠政が建立したものとされ、明石市の文化財に指定されています。

海からの参道

住吉神社を訪れたら是非ご覧いただきたいのが、この景色。
本殿からの参道はまっすぐ南西へ伸び、鳥居の向こうには播磨灘が広がります。
住吉大神は海の神・航海の神とされています。陸側ではなく海側が表参道になっているとは、海から参拝しに訪れる人々を意識したものでしょうか。
明るい日差しに輝く播磨灘をしばし眺めてから、山陽電車で魚住を後にすることにしました。



3回渡って紹介した魚住、いかがでしたでしょうか。魚住の魅力を感じた方、どうぞご遠慮なく↓へクリックをお願いします。

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晩春の魚住を歩いて(後編)

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こんにちは、内膳正です。

前回の薬師院から引き続き魚住を歩いてみることにしましょう。

味わいのある道

薬師院の前の道路はこんな景色。
まっすぐのようで少し蛇行しているのが、いかにも人が通って自然にできた昔ながらの道という感じです。
西国街道や旧浜国はここより北西を通っているのですが、この道も昔はそれなりに往来の多い道だったのかもしれません。

茨木酒造 レンゲ畑の向こうには立派な瓦屋根の建物が。
この建物は「来楽」(らいらく)という銘柄の日本酒を造っている茨木酒造という造り酒屋の建物です。

酒蔵へ

ちょうどイベントを開催中だったので、ちょっとお邪魔して、日本酒をお土産に買って帰ることに。
中については、たいたいさんが以前に訪問されているそうなので、詳しくはこちらへ。
この辺りは摂津の灘に対して「西灘」と呼ばれる酒どころで、今も数軒の造り酒屋がお酒を造っています。
茨木酒造は嘉永元(1848)年創業とのことで、ペリーの黒船来航の頃からこの地で酒造りをしていることになりますね。
敷地内の建物は、明治期の精米所や仕込蔵、大正期の洋館などが兵庫県の景観形成重要建造物等に指定されています。

小径

酒蔵の横にはこれまたいい雰囲気の小径が。
板張りの塀と未舗装の道が何とも味わい深いです。
ただし、この小径は私道らしく、通行禁止とのこと。
このまままっすぐ道路の方を歩いていきましょう。

次に見えてきたのは…といきたいところですが、ちょっと長くなってしまったので、次回に続きます。

今日からゴールデンウィーク後半戦ですね。
有名観光地もいいですが、ちょっとしたことが楽しくなる町・魚住へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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